失敗した仕事とは

Naoko Kubo
合同会社 Interrupt CEO

時々朝ごはんを食べにいくごはん屋さんで思ったこと

週に1度ぐらい、チェーン店の定食屋さんで朝ごはんを食べることがあります。そこでごはんを食べながら気づいたこと、思ったことなどまとめてみます。

入り口で食券を買って、席に座るシステムになっています。例えば、目玉焼き朝食だと、ご飯と味噌汁、目玉焼きとソーセージとキャベツ、冷奴、海苔、そんな感じのセットになります。定食を選んで、ご飯の種類を選ぶとそのあとで、ご一緒にいかがですか?とサイドメニューのボタンがずらっと並びます。

ようやく食券を手に入れて、席に座って食事をしていると、この定食にはもともと冷奴がついていますが、追加しちゃってよいですか?とか、2個もくるとは思ってなかったので返金してください。みたいなやりとりをしているのが何度も見受けられました。

サイドメニューを勧めて売り上げアップ!を狙ったのでしょうが、返金したり、一度器に入れてしまった食材の処理などコストとしての認識がされていないのでしょうか。

この仕様の修正をするには、定食についているものに対しては、おすすめのボタンから削除する、というロジックを追加しなければなりません。

しかも、定食についている冷奴と、おすすめで出てくる単品の冷奴は大きさが違うなどで品番が別である可能性もあります。解決するには除外するもののグループを作らないといけなくなり、頭の痛い仕様変更が必要になってくるかもしれません。

なんで作ってる時に誰も気づかなかったんだろう

システム開発をしているとこのような細かいお節介をたくさん考えないといけません。あとからの手戻りが発生したら工数も数倍になるので。それでも、実際運用してみると問題が出てくることもあります。なので、あとから変更しやすく考えて作ることが重要です。

それにしても、まさか一人で作ったわけじゃないだろうに、なんでこんなことが誰にも気付かれず本番開始まで放置されているんでしょう不思議です。

なるべく安くコストを抑えた結果

オフショアにでも発注したのでしょうか。仕様を細部まで検討して固めていれば、技術者の単価は日本より格段に安くなります。仕様が決定していればの話です。

スーパープログラマが2人で開発したのと、単価の安いプログラマ7.8人で開発しているのは結果は同じ、いや、出来上がった見えない中身は全く違うものかもしれませんが。

あるSNSを作っている人はWEB系のデザイナを経験している人でした。その人が画面の設計をして「1ピクセルに拘って」美しいアプリを設計し、製造はオフショアに出していました。SNSアプリなので、タイムラインのページがあり、発言をクリックすると発言の単体ページに飛びます。そのページの発言者のアイコンを押すと発言者のプロフィールに飛び、プロフィールから購入履歴に飛び、そこから商品ページに飛び、商品の製作者アイコンから製作者のプロフィールのページにとび。どこまでもどこまでもページを上に重ねて遷移をしていく作りになっていました。永遠にです。

TwitterなどのSNSだとボタンひとつでタイムラインに一発で戻れるようになっていますが、そのようなボタンはなく、戻るには永遠に戻るボタンを押し続けないといけませんでした。また、小さなひとつのボタンにイメージ、イメージの上部の文字、イメージの下部の文字、バッジ、エフェクトなど、いくつものビューが重なっていて、画面を開発ツールで開くのに5分ほど待たないと開かないような重さになっていました。

結局そのプロジェクトは、プレスリリースを2度だしましたが、世の中には出ないで終わりました。作ったもののレビューが正しく実施されていないと、出来上がってもメンテナンスにコストがかかりすぎるという悪い例です。

一方

何度か一緒にお仕事をさせていただいた青山の開発会社は日本の人なら誰でも知ってるエンタメ会社のアプリと管理画面を5名ほどで作りました。サーバー側API3名、アプリ1名、画面1名、あとはマネージャーなど。これも会社が違うと数十名のプロジェクトになるんだろうなと思いました。

どのようにプロジェクトを進めて完成させるのか、完成させたそのあとのメンテナンスも含めて長いスパンでの運用を意識して作ることが大切です。